Photo by Nicholas R Horne
イギリス有数の港町が
作った等身大の書体
イギリス有数の港湾都市、サウサンプトンが20年後の未来に向けた都市アイデンティティの形成プロジェクトを2006年から進めている。そのプロジェクトの取り組みの中で、都市のサイン計画や地図の制作をブリストルで同様のプロジェクトを手がけたCityIDが行っている。CityIDによるこれらのプロジェクトでは、ブリストルでおこなった都市のオリジナル書体を制作するというアプローチがとられている。書体制作はロンドンのデザイン事務所であるDalton Maagが手がけている。
サウサンプトンのために作られた書体は見出し用のDisplay、本文用のRegular、Medium、Boldから構成される。Displayは港町ならではのコンテナが持つ無骨さを書体の骨格やディテールに取り入れていて、うまく都市のもつ空気感を表現している。一方で本文用のRegular、Medium、BoldではDisplayの骨格を保ちつつも、ディテールにより文字らしさを加えてある。書体を開発するにあたっては、判別性のテストも行われている。判別性テストはイギリスでタイポグラフィに関する教育を行っているレディング大学と国立盲人研究所によって行われた。
今回のプロジェクトでは書体の他にサウサンプトンで使われるサインや地図のためにピクトグラムも同時に制作している。街にあわせてオリジナルでで作られた書体とピクトグラムの組み合わせは継続的に使われることで街のアイコン的な役割を担っていくだろう。