Seoul Korea

Photo by d'n'c

ソウルの伝統的美から
もたらされた新しい書体

2008年7月、ソウルは市固有の書体であるソウル南山体、ソウル漢江体という書体を制作し発表した。近年、都市間の競争において都市をブランディングする動きが活発化している。ソウルは2007年にサンフランシスコで開かれた国際産業デザイン団体協議会(ICSID)で2010年世界デザイン首都に選定された。それをきっかけにデザインにまつわる様々なプロジェクトを立ち上げるに至り、その文脈のうちの一つとしてソウル固有の書体が作成された。

ソウル固有の書体であるソウル南山体とソウル漢江体はそれぞれゴシック系と明朝系に分類され、ソウル南山体はL、M、B、EBと縦書き用のvertを含むファミリーで構成され、ソウル漢江体はL、Mのファミリーで構成される。これらの7種の書体は通常のゴシック体や明朝体とはディテールや制作プロセスが異なり、ソウルの歴史性、文化性などを考察して制作されている。モチーフには伝統的家屋であるハンオク(韓屋)や瓦が持つ曲線などを使い、書体のディテールに落とし込んでいる。デザインの決定プロセスには市民の声を取り入れ、アンケート形式でオン・オフラインあわせて10万もの回答が寄せられた。

市民参加のプロセスを経て制作されたソウル書体ではあるものの、1000万の人々が暮らすソウル市全体の認知度は決して高いとはいえない。ソウル書体は市の文書やサイン計画、公共機関のユニフォームやタクシーに至まで一貫して使用されていくことが決まっていて、その過程で徐々に認知度やソウルらしさが高まっていくことだろう。

尚、ソウル書体は市のウェブサイトから無料ダウンロードできるため一般ユーザの使用も可能だ。また、市と韓国マイクロソフト社との提携によりマイクロソフトのウェブサイトからもダウンロードできる。

Photo by d'n'c

発表年 2008.7
書体名 ソウル南山体/ソウル漢江体
制作 -
関連リンク