Bristol England

Photo by rbrwr

わかりやすい都市を
目指す街に記された書体

ロンドンから西へ約170キロメートルの位置にあるブリストルは、イギリス西南部の地域で最も人口の多い港湾都市である。第二次世界大戦中に激しい爆撃を受け、その後の復興の過程で中心市街地が分断されてしまい、わかりにくい都市が形成されてしまった経緯を持っている。

そのような経緯からブリストルは1998年からわかりにくい都市ブリストルをトータルにデザインするために「ブリストル・レジブル・シティ(わかりやすい都市ブリストル)」というプロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトはブリストルに拠点を置くCityIDのマイク・ローリンソン氏の発案によるもので、CityIDは発信する情報の取捨選択、届くまでの情報の流れを設計し、情報伝達ツールに至るまでを、都市計画、情報デザイン、グラフィックデザイン、ブランディングなど、様々な視点から横断的にデザインをしている。

その一つの取り組みとして2000年頃に完成した都市のサインシステムでは、「ブリストル・レジブル・シティ」のためにオリジナルの書体が開発された。「Bristol Transit」と付けられたその書体は、サインシステムに限らず、路上マップパネルや携帯歩行用マップにも統一的に使用している。これらの取り組みを通じて「わかりやすい都市」というブリストルが取り組んでいるシティ・アイデンティティの醸成に寄与している。

「Bristol Transit」はベルリンの地下鉄用書体である「Transit」を元にデザインされている。長体である書体がベースになっているため、限りあるスペースに不特定の文字数が入るサインシステムなどでは、グラフィックソフトを使った文字の無理な変形を未然に防ぐ効果もあると言えるだろう。

なお、「ブリストル・レジブル・シティ」プロジェクトでの都市オリジナルの書体制作というアプローチはアジアのデザイン都市を目指す韓国ソウルにも引き継がれている。

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発表年 2000
書体名 Bristol Transit
制作 CityID/Meta Design
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